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  日々、ミカンのこと                 

satomi yamada

境界線の綱 

おきなわ |

jugonnooka


このなつも、とある事情で沖縄へゆける機会がありました。

正直、実にわたしらしくはない数日を過ごした後
息苦しくなって
ジュゴンのみえる丘へゆきました。

実はこれが三度目の挑戦で
今度こそと。

丘へ
たどりついたとたんに号泣した。
声をあげ、しばらく泣いていた。

みどり、瑠璃色、エメラルド
名前なんてわからないたくさんのいろが
入り交じり、まだらに
いちめんの海の中にゆらめく。

太陽がななめに射すひかり、
よせて、かえす色
ひるがえる波、
ずっとずっとむこうまで果てしなく、つづく海。


ときどき、海のむこうから雨をたたえた灰色の雲の一団が
やってきて、いっぺんに注いでそこいらを濡らした。
そうしてまたからりと、照りつけるひかり。

ここなのか、と
しばらくそこから動かれなかった。


わたしはこんなにきれいなものを
みたことがないかもしれない


午後から辺野古の座り込みテントへいって
守る会の方とお話をした。
後に気づけば実にぐるり、ちょうど一年ぶりの再会となる。

翌日、
テント脇からボートにのせていただいて
辺野古の海の上をいった。
あの海に、身体をすべり入れて漂う。

船長に手をひかれて、海の中へ潜った。
そこには
無数の、むすうの魚が群れをなして
すぐ目の前を、あっちを、こちらを、泳いでいた。
ひとたび顔をつっこめば、
地上からは感じきれぬ数々の
水の中の世界。

わたしは眼鏡の中でまた、目をびしょびしょにした。

こわがりの娘は
水中で魚をみることはできなかったけれど、
岩間や洞窟に住む小さないきものたち、
白いひらひら飛ぶ鳥、
生きているタカラガイ、とびハゼ、ヤドカリ、
ジュゴンのたべる藻草
そこをまっすぐにつっきる戦車の跡、この海を
彼女の心で見、すくいとったのだとおもう。


ここを埋めてつくろうとされる基地


とうめいな海をてのひらにすくいながら
わたしのは、
たとえば単純にジュゴンのためにとか海のためとか豊かな環境のためとかじゃ
ないやとおもった。

この海をみてしまったわたしのために。
誰かや何かのため、というよりもたぶん、
失いたくないと
強く願う自分のためなのだ。

失う、失わないの境界線に立つのが今のわたし達ならば、
わたしはわたし自身の奥底のために、
「失いたくない」
というほうの縄を強く、ひきづられてでも強く、ひっぱりたいのだと
おもう。


この手足とこの海はつながっている。
だからきっとこの手足と魂でどうにかできるはずだと、
妙におもってやまない。

「むつかしいモンダイだよね」
なんていって逃げかわして、やり過ごしてしまうわけにはいかないんだ。


わたしたちをこの海へつれだしてくれたひと
ボートの船長は
この辺野古に10年直にかかわり続けてきた女性で
こんがりと日焼けした彼女は
逞しく、うつくしく、からから笑って温かく、
豪快なようで照れ屋で、まっすぐに
ほんものを見つめるひとだった。

夜は彼女のうちにおじゃまして、
三線と唄と、沢山のはなしと、
こうもりの鳴き声と、風の音を、きかせてくれた。
降るような星と、天の川をみた。
数々のほんものが魂をつかんで、
涙をあふれさせ、自由にさせた。
2種類の時間があるならば、
わたしはこの瞬間確実に、全身全霊で生きて、いたとおもう。

わたしは、
この現在を生きている身のひとりとして
失いたくないものはもう絶対に失わない

たとえ、何度絶望しても
何度だって這い上がっては、つかむ。
笑いとばす。
離さない。

そういうふうに、決めている。


この旅の
この海の出会いに
底から、感謝しています。
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