
12月
庭に、麦の種をまいた。
どこにまいたのだかわからなくなって
じゃかじゃか踏んづけたりしないように、
浜辺からひきずってきた流木でなんとなく囲いにする。
土をかけ、
最初の水をまいて、
おもむろにむすめ、
さつきさんメイさんが行うドングリの芽でろ、の
まじないの舞を踊りはじめるので、
わたしもとなりで
んむむむーーーん、ぱっ
を数度とやる。
さてそのかいあってか、
芽が生えた。
緑の先っぽをしゃらんと触っては、
話しかける。
出かけるときには、「いってきます」。
春にはこの麦を挽いてパンにする。
茎でもってヒンメリをこしらえる。
そんな、心づもりでいるのである。
おそらく
ここの土も以前の状態とは変わってしまった。
なにが正しいだの
なにが正義だのというものは
ますます、
ひとつではないのであろうと
3.11をひとつの境にしておもう。
それぞれが、
それそれの中心の指し示すところで
判断してゆくしかないのだろう。
あふれかえる情報をつぶさに収集、解析、整理してみたとて
頼るのは結局、自分自身の感覚なんじゃないかとおもう。
未来を、保証するものはなく
リスクを、完全に回避することは皆無
そのことがより、
はっきりと見えるようになったともいえる。
直感にしたがって
今日の日、ひとつひとつを
大切に、潔く生ききればよい
わたしはそんな単純なところに思い至る。
そんなことをいいながら、もしかしたら
極めて長寿なのかもしれないし、明日ゆかないともいえない。
わたしはそれはどちらでもいいと
おもっている。
たいようや、みず、だいち、つき、しょくぶつ、
それらとつながっていさえすれば
やってくるものを
うけて、
ゆくだけなのだ。

3年ばかり、同じカレンダーを吊り下げている。
とても気に入っているので、
数字を四角く切り取って
入れ替えては
くりかえしくりかえし、使う。
「 けものごよみ 」 ノラヤ
1 テン 真夜中のみかん狩り
2 クマ おたんじょうびおめでとう
3 シカ 角がぬけかわる
4 ムササビ 桜の花をムシャムシャ食べる
5 カモシカ 若芽をつまむ、はんすうする
6 イタチ どじょうが釣れた
・・・・・・
てなふうに、月々にけものが登場する。
2月はちょうど娘の誕生日でもあるので、
しびれるように、購入したのが2009年。
1年でおさらばとは、いささか急ぎ足すぎる。
そんなわけでくるくる3年。
つぎ、4年目に突入する。
もったいながりで、
しつこい性格なのかもしれません。
しつこいといえば、
これもまた

昨年、ドイツへ渡った友人から頂いたアドベントカレンダー。
日めくりをとっておいたので
穴をあけ、ひもを通して、壁に吊る。
クリスマスまでの毎日、娘とめくる。
こちらもくりかえしまた、
気がすむまで
一緒にいるのである。
月食をみた。
ここは、宇宙というものの中にあって
お日さまと
月と、
星々、
そのただなかにある。
そのなかでぐるぐるしている一点
が、わたし。
自転車こぎながら月をみて、
首がいたくなるくらいに
空を見上げ、
口をあけ、
吐く息が白く、
ひとりで、
空気がつめたい。
月はみるみる細くなって
星が浮き出る。
すっぽりと重なって薄ら赤い月は
こわいくらい。
すごいところに、我々は生きている。
そうしてもってわたしというやつは
きっといつまでも不完全だ。
よくも、わるくも。
時間も、記憶も、嘘も、事実も、
なにがほんとうだか、もうよくわからない。
何度もみうしなって
何度でもつかむ
かなしいような、
おおきいような、
おろかなような、
おかしいような、
くりかえし
それでいいのかもしれない。
どうなんでしょう、おつきさん。
ここは、宇宙というものの中にあって
お日さまと
月と、
星々、
そのただなかにある。
そのなかでぐるぐるしている一点
が、わたし。
自転車こぎながら月をみて、
首がいたくなるくらいに
空を見上げ、
口をあけ、
吐く息が白く、
ひとりで、
空気がつめたい。
月はみるみる細くなって
星が浮き出る。
すっぽりと重なって薄ら赤い月は
こわいくらい。
すごいところに、我々は生きている。
そうしてもってわたしというやつは
きっといつまでも不完全だ。
よくも、わるくも。
時間も、記憶も、嘘も、事実も、
なにがほんとうだか、もうよくわからない。
何度もみうしなって
何度でもつかむ
かなしいような、
おおきいような、
おろかなような、
おかしいような、
くりかえし
それでいいのかもしれない。
どうなんでしょう、おつきさん。

渋柿が届いたので
早速、むすめと干し柿をこしらえる。
へたをはさみでくるりと切るのが彼女、
皮をむくのが私。
ふたりで縄にぶら下げて吊るす。

冬の空気のなかにぶらぶらと、
電燈がともったようで
私たちはこの景色がすきだ。
乾いてきた実を、
やさしく揉んで柔らかくする。
むすめはこの頃、
こういう手伝いが面白いらしい。
さて、畑のトマトがいまだに実をつけて
青いままでいる。

友人からいただいた森岡尚子さんの本
「沖縄、島ごはん(改訂版)」 (伽楽可楽)
を何の気なしに台所で立ち読みしていたら
ほい、
ちょうど冬の青トマトでこしらえるピクルス
というのを見つけた。
早速庭からトマトをもいできて
ピクルスにしてみた。

冬の台所というのは案外、
愉しくてうきうきしてしまう。
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