
この頃はヨモギを干したものを
焚くことを
朝または夜の日課としている。
煙は、蚊よけにもなるそうで
(草師匠・矢谷左知子さん談)
なにより、その香りがすばらしい。
空間がひとつ、
清められるような心持がする。
さて
私の娘はいつのころからか
ハーブに詳しい。
ふりかえって、数年前から
誕生日祝いやクリスマス、母の日の贈り物にと
自身でこしらえたポプリやサシェ、
それを入れたお守り、
ローズマリーを刻んで入れた焼き菓子
などをくれる。
と、いつかの贈り物に添えられた小さなカードをみると
そのハーブの持つ効用と、
私にこれを選んだ理由などが細かく書いてある。
そういえばいつ頃からか、私は
彼女がサンタさんから頂いた精油を何滴か頂戴して
自分用の化粧水をつくるようになったし、
思えば多大に彼女から影響をうけて生きている。
(これはハーブだけに限ったことではないけれど)
先日ふと、
娘とカモミールの花の話題になって
彼女がいう。
わたしは、カモミールみたいな人になりたいんだ
その花の姿かたち、または香りのことかとおもって
訳をたずねると、
カモミールはね、
枯れそうな植物の横に植えると、
その植物が生き返るみたいに元気になるのだって
だから
そうか
彼女はそんなふうにおもって
この世界に生きているのだ。
それはなんて、なんて、なことだろう。
それをきいて振り返れば、
これまでの彼女の生き方のはしばしでの行動とそれは
とても、重なっている。
むろんときにわがままもいうし、
ときにひどい横暴な物言いだってする
12才の少女である。
けれど彼女の根底にはいつも、
こういう願い、
いや想い、意志が流れているのだ。
わたしはまたもや、
娘には及ばぬ生き物である。
私が、あこがれる人の名をひとり
こたえろと言われたならば、
娘の名をこたえるとおもう。
この
おやばかと笑いたければ
どうぞ、笑えばよい。
この世に生まれたすべてのこどもたちに、
(私たち大人も)
成し遂げるべき使命があるのだろう。
その芽を摘むことなく、
枯らしてしまうことなく、
皆ではぐくみ合ってゆけるとしたら
せかいはきっと
まちがいなく
すばらしくなってゆくにちがいない。
そんなことを、おもう
6月のおわりである。
今年は庭の紫陽花が
これまでで一番きれいに咲きました。

拝啓、
この頃は草をみ、つみ、いただきながら
植物とともに生きているのがたのしくてたまりません。
先日、新たに
ツユクサが食べられることを知り
山端でみかければ摘んできて
じゃっと炒めて食べています。
空芯菜みたいな食感がして、おいしい。
ツユクサはお肌によいそうです。
娘は
「今日のお弁当に草がはいってたー
あれ、なあに?」
といいながらも、
ちょっと硬くてこりゃいけないわ、というところ以外は
ちゃんと食べてきます。
ヨモギもそうだけれど、
上の柔らかいところを摘むのがおいしい秘訣のよう。
オオバコは乾かしてお茶にすると
喉によいそうなので、
田んぼに行ったついでに摘んできて
かわかしている。
先日はご近所さんの、
どうみても食べておられない枇杷の木があって、
その日はちょうど
目をつけていた野生の枇杷の実がすでに
すっからかんだったのを確認した直後だったのと
そこのおうちのご主人がこれまたちょうど
庭木の手入れをなさっていたので、
もぞもぞしていたら
相方がご主人に話しかけてくれ
寛大なご主人は
「うちは食べないから、すきなだけどうぞ」
と言ってくれた。
しかも梯子まで貸して下すったので
かごいっぱいもいで
念願の枇杷の実で酵素ジュースをつくる。
たのしく、
ありがたや。
さて、さて
7月の初めの週末には
我々久しぶりの都内、
青山の国連大学前で行われている
ファーマーズマーケットで
ライブをさせていただくこととなりました。
http://farmersmarkets.jp/aoyama-food-flea/
この日はちょうど
青山ファーマーズマーケットと
AOYAMA FOOD FLEA が同時開催で
クラフトフード、暮らしの道具にアンティークなど
一日100店舗以上が参加出店。
ライブはソーラー電源ということで
これはこれは愉しいことになりそうです。
是非
どうぞお出かけください。
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2014/7/5(土) 6(日)
青山 Farmar's market
世界の食の蚤の市 「AOYAMA FOOD FLEA 」
10時から17時まで
場所:青山ファーマーズマーケット内
入場:無料
the yetis は両日ともに
13:00~
15:00~
の2ステージ出演予定です。
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お待ちしております!
敬具

拝啓、
梅雨は子どものころすきではなかったけれど
この頃は
雨音はよく眠れるし、
空気も、町の景色も
しっとりとして気持ちがいいし
紫陽花はことにきれいだし
緑はよけいに緑で
なかなかいいではないか
とおもう。
先日、はげちょびれとなったお隣の
小さな緑地の跡に
あの、
大きな巻葉をひろげる南国風の草が
すと、ささやかに
芽を出しているのをみつけた。
あれほど無にされたようにみえたのに
無ではなくて
再生する。
草は
けなげで、
でも植物自身はなんでもないことのように
それをするのだろうけれど
こちらのほうが
いつもいつも、救われる。
本当に素敵な見上げる存在
話しかけて、ちょっとなでたりしている。
さてさて
先日、蛍をshoku-yabo農園にみに出かけて
森のなかいっぱいに飛ぶ
ひかりをみた。
娘はお腹がすいてそれどころじゃなかったようだけど
できるならしゃがんでずっと見上げていたいような
摩訶不思議な景色だった。
そしてshoku-yaboのごはんは
シンプルで
うんと美味しい。
そんなわけで、
今年もまたうれしいことに
peacenic とともに
「ホタルのよるに」を開催できる運びとなりました。
もちろん処はshoku-yabo農園
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2014 / 06 / 29 (sun)
peacenic presents
ホタルのよるに - 2014 初夏 -
at SHOKU YABO農園
http://syoku-yabo.com/
start 18:00
charge : 投銭制
live : the yetis
語り : 大村史織 , toto
food : 堰谷戸酒場
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この日は残念ながらギターの安藤は不在ですが
もしかすると
とてもすてきな大先輩ゲストが登場するかも
しれません。
よ
ちろちろ、くうにうかぶ
ほたるのひかりと、おと、ことばを愉しみに
どうぞいらっしてください。
お待ちしております。
敬具

このごろの、空をみておもうことがある。
山を、
木々草々をみて
おもうことがある。
ひとは、自然と交感することができうるのかもしれない。
なんだ、
そんなこつあったりまえ
と、思う方もいらっしゃるかもしれない。
わたしは遅ればせながら、このごろ
そんなことに気がついたような気がする。
5月の芸術祭期間中に一つだけ、
気になる講座に参加することができた。
葉山からすこし進んだ先、
秋谷の海を見渡す素晴らしいアトリエの場
「草舟on earth」
を開く、矢谷佐知子さんの主催する
草文明連続講座
フォレストウォークの一日。
森の案内人、エリック氏に導かれ
子どもを交えた10人ほどが山道をつづく。
この日はかねてからエリックが大切に想っている森の中を
案内していただいた。
森の入り口で、エリックと佐知子さんが言う。
自分の踏み入れてゆく足跡が、
なるたけそこの植物を傷つけないように
一足一足に心を配って歩いてみてください。
一向は小さな一列になって順々に
そろそろと、その中に入ってゆく。
そこは道ではなく、まさに植物たちがそれぞれに
生き暮らしている場。
そこへ入れてもらう、
そういう歩き方がとても新鮮で
ふと、前をみると
草木に包まれるように
我々は森の小人ででもあるかのように
かさこそ、と歩く可愛らしい風景がある。
重なる木の葉の隙間からこぼれる太陽のひかりは、
放射線を描いてこちら
私の眼前へと届く。
微かにゆれて、光が注ぐそのやわらかさは
信じられないくらいに、きれい。
生まれたばかりのまだ新しい葉は、
それぞれに毛足が長くてふさふさとしている。
ロバの耳のようなもの、
うさぎの耳のようなもの、
頬ずりをしたり
唇をそうっとつけてうっとりしながら
進む。
土はふかふか、
シュレーゲル青蛙の声がする。
すぐ傍らをひらひらと蝶がとんでゆく。
蜂の羽音が聴こえる。
誰も騒がない、じっとそれを感じる。
虹色にひかる太いミミズをみる。
振り返れば、
森の斜面、落ち葉に紛れてみなが寝っころがっている。
森の中にぽっかりと池がある。
冬の大雪で倒れた木の大木がある。
根っこはまだ、生きていて
つよい木の香りがする。
鴨の夫婦が水に浮かんでこちらをみている。
おどかさないように、こっそりこっそり、すすむ。
木の間、
草の間をくぐって
小さくなったり
ななめになったりしながら触れる葉や枝に
心の中で話しかけながら
この森のあんまりのすばらしさにこみ上げてきて、
目がよく見えない。
たらたらと流れる涙も森は静かに
包んでくれる。
ああ、ひとは
森や木々からあまりにたくさんのものを
うばうようにして、
ふみつけるようにして
生きてきたかもしれない。
けれど、本来
ひとは
こんなふうにして森や木々と交感し合えるのかもしれない
という思いがした。
いつか来て、いつかかえる
そうしてぐるぐると
ひろいひろい世界をつくる
ちいさなものの中心は、全体とひとつ。
にんげんもくさも、みえるものもみえないものも、
つながっていることができる。
それがほんとうは、自然なことなのかもしれない。
その
ほんのすこし後、
しゃがみこんで根っこや土
苔や小さな生きものたちとじっとしながら
木陰でちょっと一休みしていると
ふっと風が吹いて、
木が揺れてふと、振り返るとそこに
私のヘアゴムが落ちていた。
いつの間にか落っことしていたらしい。
森が教えてくれたのだ、と
気づく。
私は
森のようにありたい。
人を包み、
土と風と太陽とともにある
厳かで雄大な
木のようなものになりたい。
最後は原っぱで
矢谷さんの草料理。
蓬の先っぽとタンポポの花を摘んで、
天ぷらにして皆で食べました。
また一つ、すばらしい日。
すべて忘れないで生きてゆこう、
とおもう。
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