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  日々、ミカンのこと                 

nalu

後味 

畑と土 |

ピーマン


まだひょろひょろのピーマンの苗に
ある日からたくさんのカメムシがついていた。

あんまりたわわについているので
近所の花屋さんに相談したら、
「焼酎に唐辛子をつけたものを薄めて霧吹きでかけるとよいですよ」
と教えてくれた。
「でもね、毎日やらないとだめです」
という。
ずっとずっとですか?
ときけば、
「茎が太くなればこなくなりますから、それまで」
という。

早速、うちにかえって
しゅっしゅ、とやってみればたしかに
おどろいたようにざわざわと彼らは移動をはじめる。
しかしなにせ、
茎にびっしりのカメムシである。
中には度胸の座ったカメ氏もいる。
そういうのはしかたないので指ではらう。
しかしみなすぐに戻ってきて、
持ち場の茎にしがみついている。

指でもってぴんぴん、とカメムシをはじく。
「 ほらーあちらにたくさん草がはえとるでしょうー
 あっちへぜひおゆきなさいよー」
なんてことを言われながら、
ぽろぽろと虫たちは落ちて
身体と同じ色をした土の上をあわててかけてゆく。
ま、すぐにもどってくるの、あたしゃ知っているけれどね。

正直にいうと、ある日
あんまりに霧吹きじゃなんともならないので
あたまにきて
カメムシたちにシャベルをあてた。
じゃくじゃく、
息の根をとめていたら、
ひどく、気分が落ち込んでしまった。
後味がわるくて、もやもやする。

だいたい、こんなにたくさんの命をあやめてまで
わたしはピーマンを食いたいんだろうか
と考える。

それ以来、カメムシをあやめるのはやめた。

そうしている間にピーマンの茎は立派に太って、
今じゃカメムシもこないのである。

そうして、実がみのった。
そんな日々である。
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