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  日々、ミカンのこと                 

satomi yamada

ぴらぴら 

四季 |

さくら




これが咲くと、どうもこうもない。



いつか住んでいたアパートの、裏のお寺いっぱいの桜。

いつか歩いた公園や 川沿いの桜。

ここは桜だらけになる、と冬のうちから目をつけていた坂道。

池を囲んだ公園。

小学校の脇。

……。

あっちもこっちもと 全部みたくてたまらなくなる。

みないではもったいないような衝動に駆られる。

もちろん全部だなんて、無理なんだけど。



黒々とした木枝から

わいたように ぱっと、

もさもさと花が咲いて風に揺れ、散るまでの間

たった10日くらいというところか。

なんて短さだ。

日常どころじゃなくなる。



別に 「余命数ヶ月です」とか

いわれてるわけじゃないのにね。

来年もきっとまた見られるんであろう。



ま、そんなこと絶対なんていえないんだけど。

だから、なのか。



なんであるのか、このかんじ。

妙に急かされるみたいな、このかんじは。





桜。

こやつが咲くと同時に、妙にひとに会いたくなる。

たまにしか会えない大事なひと。

遠いけど、確かにずっと

手をつないでくれているようなひと。

会って桜がみたくなる。



なんてことはない

ただ花の下、ごはんを食べておしゃべりをする

だけなのだけど。





ふらり、自転車をこいでとなり駅。

前々から気になっていた 高台のお寺に桜の色がみえる。

これはこれは とつられて上っていったらば、

人気のないお寺に、桜の木。

風にゆれて ぴらぴらと 花びらがおちる。

あの、舞い上がり、踊るようにゆっくり下りてくる景色は

時間が止まったようで

昂揚する。

涙がでる。




その奥にはお墓があって、竹林があって

脇には小さい畑がある。

コケコッコーとも きこえる。



竹がしなり 揺れる。

ふと

気配を感じて振り向くと、

先ほどの声の主

チャボか何かの雄鶏と雌鳥が

たとたと と歩いてきなさる。

お墓のまわりを好きに歩いて

地面をつっついて また

歩きまわる おふたり。



雄鶏の毛並みは

光を反射して てらてらと光る。

人間がつくったんではない、

驚くほどの煌めき。



話をするわけでもなく、

じゃれるでもなく、

ほどよい距離を保って

でも離れずに、

ひたすら地面をつっつく。



忘れていたけれど、

そういえばこのひとたち 草とか食べるんだった。

花の実とか、小虫とか食べるんだ

エサじゃなく。

と、はっとしたりする。



昔、

お祭りでカラーヒヨコを買って 育てていたことがあって、

ぐいぐい大きくなってもう

トサカが見えるほどになった 「ミミ」 の後をついて歩くと、

そういえば草とかつついて食べていたっけ。



ハコベとかすきだった。

トンボを捕まえてあげると、頭からばりばり食べた。

今おもうとこわい。

じぶんがこわい。



とにかくそうして大きくなった ミミ はある日、

わたしが幼稚園に行っている間

庭で遊んでいるところを ネコにとられていなくなった。



母と一緒に

点々と地面に落ちている ミミ の羽根を拾って探したことも思い出す。

そのとき拾った 白い羽根の一枚を、

今でも実は持っていたりする。



あの後しばらく、

寝るときも、幼稚園にいても、ミミ の声が

聞こえるような気がした。

だれかのヒヨコをみても、あれが ミミ じゃないかとおもった。

どのネコをみても、あのネコが ミミ を食べたんじゃないかと

じろじろみた。





先日、引越しをしまして。

古いものがあれこれ出てきたのと

この桜で

記憶がトリップしている 春であります。

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