
月、中ごろのこと。
娘と映画をみにいった。
河瀬直美・監督
「玄牝(げんぴん)」
すばらしくよくて号泣した。
愛知県にある、自然分娩をおこなう「吉村医院」
ここへ通う妊婦たち、
いのちのうまれるところ、
院長の吉村正先生、そのまわりを
映したドキュメンタリー。
なるたけ薬や医療機器介入をせずに、
ひと本来のもつ力を、自然なかたちで引き出す。
フィルムのなかの妊婦たちは、
薪を割り、畑を耕し、よく動き歩き、ぴかぴかとして
まるで縮こまったところがない。
おんなのひとの体はほんとうにうつくしいとおもうし、
魔法のような奇跡を生む場所を潜めている。
それもごく、自然に。
おそれず、
ありのままを受け、迎い入れる。
痛みも、生も、死さえも。
そうしていのちはめぐり、めぐるのだ。
身体に子を宿しているひと、
宿したことのあるひと、
いつか宿すひと、
それをいまささえるひと、
いつかそれをささえるひと、
それぞれがれぞれに、つよく受け取るものがあるのでは、と。
おんなは、うつくしい。
いのちがうまれくるということの、ちからづよさ。
いのちがおわるということの、ひつぜん。
あたりまえで、あたりまえでないことの
うつくしさ。
生も、死も
むろん、おとこもうつくしい。
よい映画です。
河瀬監督、さすが。
ぜひともいつか、よろしかったら。
娘にはまだちょっと早かったみたいだけど
いつか、こころのなかで
きっと息をするとおもう。
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