
妹はアメリカに住んでいて、
そこで結婚式を挙げるというバブリーな案内が来て
先日、赴いた。
わたしはほとほとにほんを好んでいるため、
腰はいたって重い。
しかしまあ、めでたい席だもの、
行って祝おうじゃありませんか。
夏のサンフランシスコはさむかった。
夕暮れを過ぎれば、フリースやダウン姿の人々までいる。
こっちの人って暑がりなんじゃないですか、と首をひねりつつ
半袖姿の身体にぐるぐる布を巻いて足早に歩いた。
これでは逆に、日本人は暑がりだと思われたかもしれない。
滞在6日間中、
妹夫婦のはからいでヨセミテ自然公園なる世界遺産のどでかい山々や滝、木々、森の中へも行った。
欲をいえばもうすこし自分の足で歩きたかったけれど、
わけのわからないくらいにすごい景色だった。
いったいどういうわけだろう、とそれを前に呆然ともする。
一族でサンフランシスコ市内観光ツアーにも参加した。
坂の多く、建物のきれいな街。

アメリカらしいところを体験させてあげようという
はからいによって、
分厚いローストビーフもカニも食べた。
皆がアルカトラズ島(元刑務所)ツアーへ参加している間、
怖がりのわたしは娘とふたりで海辺の街をうろうろ、
稚拙な英語能力により、注文したカレーにエビではなく豆腐が入っていたりもしたけれど、
雲ひとつない空の下、芝生の公園に寝転んで
草花遊びをする娘の傍らでまどろんだり、
身振り手振りで肉まんを見事注文したり、
街中の公園では水場に入って遊ぶ娘に警察がやってきて、ソーリーといいながら
それを止められたりもした。
ミュニメトロにのって宿へかえる。
数日いれば、次第に通りの名前もおぼえる。
正直、少々こわい思いもしたし、
ひとりで歩くのはびくびくしたりしたけれど、
案外人々は親切で、愉しかった。
特筆したいのは、ゴールデン・ゲート・パーク。
無料で入れる大きな大きな公園で、
中には植物園、科学館、美術館などもある。
最終日、くれぐれも飛行機に遅れないようにとのお達しを守るべく、
足早に公園だけを見て回ったのだけれども
ここの木々花々はすばらしかった。
いたるところに妖精や、小人がいるにちがいない。
小さな庭、シェークスピアガーデンにはリスが走り回っている。
水が湧き出るところには、ハチドリ。
空中に静止して水を飲む。
羽根が八の字を描いて見えないくらいに早くうごく。
嘘みたいに幻想的な光景が、胸にはりついている。
旅は、
ガイドブックをガン見するより
人気店を制覇するより、
思うままに歩いたほうがいい。
観光にお金をかけることより、
そこらへんを気ままに、のんびりしているのがいい。
持論であるが、あらためて
そういうのを、
わたしはよい旅と呼ぶのだとおもう。
旅先では決まって葉書をだす。
切手を貼って、
見慣れないポストへ入れた郵便物は
帰るわたしよりゆっくりと日本へ着いて、
郵便受けにおちる。
妹よ、結婚おめでとう。
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