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  日々、ミカンのこと                 

nalu

星のあるように 

こども |

2012.12 014



一昨夜、
とうとう
マシュウ氏がしんでしまった。

本好きの娘の愛読書のひとつが
「赤毛のアン」で、
娘はそれをくりかえし、くりかえし読んでいる。

彼女が眠るとき、
その枕もとで私はいつも本を読んで聞かせるのだけれど
ふと、
この冬はこの本を一章ずつ、読んでいた。


ここにでてくる マシュウ伯父さん という人が
私はとても好きで、
「そうさな…、」
という語り口でぽつぽつ、話す彼のセリフをいつも
大切に声に出して読んでいた。

ふと先日、
ずっと先だと思っていた彼の死が
この一冊の本の中で起こるということを娘からきいて
(アンシリーズは「アンの青春」「アンの愛情」…と続くのだ)
以来、
それがやってくるのがこわかった。
毎夜、
びくびくしながら字を目で追った。

そのマシュウが
とうとう死んでしまう。
一昨晩は娘にせがまれて、
一気に3つの章を読むことになったのだけれど
この終いの章のはじめから終わりまで
私はずっと泣きっぱなしであった。

今、こうしてここに書いていてさえ、
目の前がにじむ。

鼻をすすって、
声を震わせながら読む私のとなりで
娘はしきりに私の涙を拭いた。

声がひっくりかえって、
嗚咽しながら読む私の涙を
タオルでひたひたと、
ぬぐい続けながら聞いていた。

私がこれほどまでに泣くものだから、
彼女はその世話に追われて
自分が泣くどころではなかっただろう。

読み終えて、
また泣きだした私に
むすめは言った。

ママ
ひとはいつか、みんなしぬんだよ
ずっとずっとは、生きられないんだよ、と。

マシュウが死んでしまって、
でもそれでアンは、ギルバートと結婚することに
なったんだよ。
だから、かなしいことばかりじゃない
それに、また生まれ変わるんだから
と。


そうして
星はなぜ光るのか知っているか、と
むすめはいった。

それはね
天国の光がこっちに、もれているからなんだよ
天国は光で満ちているのだから、心配しなくていいんだ
と、
彼女はいった。


それが、
娘がこれまでに読んだたくさんの本の中で
おぼえたことなのか
また、
どこかで聞いてきた話なのか
また、
彼女自身の想像で生まれてきた事柄なのか
はたまた、
彼女が生まれながらにして知っていたことだったのか
私は知らない。

むすめはいつも私より
道の先を歩いているような気がする


大切なものも、いつか消えてなくなる。
それでも世界は続いてゆく。
わたしたちはそんな中に生まれ、
生きて、ゆくのだ。

それはきっとかなしいことではない
ただ、そこにあること


そうしてすべてはめぐり、めぐっている。
んだね


わかってはいてもやはり、かなしいとおもう自分の涙を
娘にぬぐってもらっている
それは実に、
情けないことであるけれど

文字と言葉をまだ
背負わずにいた頃から、
いつのまにかたったひとりで
抱えきれない数の本を読むようになった今も、
娘のとなりで
本の読めることを
とても
幸福におもう。












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