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  日々、ミカンのこと                 

satomi yamada

交感をば 

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kusatohito

このごろの、空をみておもうことがある。
山を、
木々草々をみて
おもうことがある。

ひとは、自然と交感することができうるのかもしれない。

なんだ、
そんなこつあったりまえ
と、思う方もいらっしゃるかもしれない。

わたしは遅ればせながら、このごろ
そんなことに気がついたような気がする。

5月の芸術祭期間中に一つだけ、
気になる講座に参加することができた。
葉山からすこし進んだ先、
秋谷の海を見渡す素晴らしいアトリエの場
「草舟on earth」
を開く、矢谷佐知子さんの主催する
草文明連続講座
フォレストウォークの一日。

森の案内人、エリック氏に導かれ
子どもを交えた10人ほどが山道をつづく。
この日はかねてからエリックが大切に想っている森の中を
案内していただいた。

森の入り口で、エリックと佐知子さんが言う。

自分の踏み入れてゆく足跡が、
なるたけそこの植物を傷つけないように
一足一足に心を配って歩いてみてください。

一向は小さな一列になって順々に
そろそろと、その中に入ってゆく。
そこは道ではなく、まさに植物たちがそれぞれに
生き暮らしている場。
そこへ入れてもらう、
そういう歩き方がとても新鮮で
ふと、前をみると
草木に包まれるように
我々は森の小人ででもあるかのように
かさこそ、と歩く可愛らしい風景がある。

重なる木の葉の隙間からこぼれる太陽のひかりは、
放射線を描いてこちら
私の眼前へと届く。
微かにゆれて、光が注ぐそのやわらかさは
信じられないくらいに、きれい。

生まれたばかりのまだ新しい葉は、
それぞれに毛足が長くてふさふさとしている。
ロバの耳のようなもの、
うさぎの耳のようなもの、
頬ずりをしたり
唇をそうっとつけてうっとりしながら
進む。

土はふかふか、
シュレーゲル青蛙の声がする。
すぐ傍らをひらひらと蝶がとんでゆく。
蜂の羽音が聴こえる。
誰も騒がない、じっとそれを感じる。

虹色にひかる太いミミズをみる。
振り返れば、
森の斜面、落ち葉に紛れてみなが寝っころがっている。

森の中にぽっかりと池がある。
冬の大雪で倒れた木の大木がある。
根っこはまだ、生きていて
つよい木の香りがする。
鴨の夫婦が水に浮かんでこちらをみている。
おどかさないように、こっそりこっそり、すすむ。

木の間、
草の間をくぐって
小さくなったり
ななめになったりしながら触れる葉や枝に
心の中で話しかけながら
この森のあんまりのすばらしさにこみ上げてきて、
目がよく見えない。
たらたらと流れる涙も森は静かに
包んでくれる。

ああ、ひとは
森や木々からあまりにたくさんのものを
うばうようにして、
ふみつけるようにして
生きてきたかもしれない。

けれど、本来
ひとは
こんなふうにして森や木々と交感し合えるのかもしれない
という思いがした。

いつか来て、いつかかえる
そうしてぐるぐると
ひろいひろい世界をつくる
ちいさなものの中心は、全体とひとつ。
にんげんもくさも、みえるものもみえないものも、
つながっていることができる。
それがほんとうは、自然なことなのかもしれない。


その
ほんのすこし後、
しゃがみこんで根っこや土
苔や小さな生きものたちとじっとしながら
木陰でちょっと一休みしていると
ふっと風が吹いて、
木が揺れてふと、振り返るとそこに
私のヘアゴムが落ちていた。
いつの間にか落っことしていたらしい。

森が教えてくれたのだ、と
気づく。

私は
森のようにありたい。
人を包み、
土と風と太陽とともにある
厳かで雄大な
木のようなものになりたい。

最後は原っぱで
矢谷さんの草料理。
蓬の先っぽとタンポポの花を摘んで、
天ぷらにして皆で食べました。

また一つ、すばらしい日。

すべて忘れないで生きてゆこう、
とおもう。


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