
11月の物語の題材を
宮沢賢治にしよう
と決めてから
一か月、
一日の隙間はほとんど
宮沢賢治だらけだった。
というのは大げさかもしれないけれど、
よく立つ台所のすぐ脇、
棚に置き飾るその2冊の本に
娘を見送った朝食のあと、
出かける前の数時間、
電車のなかで読むように、
晩御飯をつくるまでの数十分、
夕飯を食べ終えて洗い物に立つ前のすこしだけ、
お風呂に入る前の数分、
眠る前のすこしの間、
手をのばし、
声に出して
賢治の残してくれた言葉を、読む。
このサイクルに入る前、
つまり
題材にと決めてすぐ、それを娘に話すと
「宮沢賢治はママのこころの恋人だからね」
と彼女はさらっといった。
なーにいってんの、
と
おもっていたけれど、
つまり
わたしはこのときはまだよく賢治のことを
知らなかったのだけれど、
読みふけるうち
このことば
そのとおりだと妙に感心しておもう。
何度も口にして
反芻して選ぶうち
結局、
当初考えていたより多くの作品を
朗読することにする。
先日、cibo さんで
それからこの日にご都合の合わなかったすこしの方をお招きして
今日は小さな我が家で、
と、いうわけでありがたいことに
2回も同じ題材で
a story of Nov. をひらかせていただいた。
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正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識して
これに応じていくことである
われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう
求道すでに道である
(宮沢賢治 「農民芸術概論鋼要」 序論 より一節)
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この方は、
ほんとうに
ほんとうのことを
のこしてくれた
ゆえに、
死後になって
こんなにも長い時を経てもいまだに
こんなにもたくさんのひとの心をとらえて
そしてちからづよく生々しくそれを打つ。
大事な存在であり、
ずっと先をゆく先輩であり、
わたしたちも
このように
すこしでもありたいと
わをかこんでおもう。
お越しくださった方々
ほんとうに
ありがとうございました。
わたしは毎度
大事な宝物をいただくような
気持ちが
毎度ほんとうにします。
そんな時空を共有してくださることに
心より
胸をいっぱいにして。
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新たな時代の詩人よ
嵐から雲から光から
新たな透明なエネルギーを得て
人と地球にとるべき形を暗示せよ
新たな時代のマルクスよ
これらの盲目な衝動から動く世界を
素晴らしく美しい構成に変えよ
諸君はこの颯爽たる
諸君の未来圏から吹いて来る
透明な清潔な風を感じないのか
(宮沢賢治 「生徒諸君に寄せる」 断章七 より)
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宮沢賢治はそういうわけで
私にとっては
ちょっと特別。
(という方がきっと少なくないことに深く頷く)
またいつか
どこかで
朗読させていただく機会をもちたいなと
おもいます。
次回
a story of Dec. のご案内は
近日中にいたします。
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無意識部から溢れるものでなければ多く無力か詐欺である
髪を長くしコーヒーを呑み空虚に待てる顔つきを見よ
なべての悩みをたきぎと燃やし
なべての心を心とせよ
風とゆききし 雲からエネルギーをとれ
(宮沢賢治 「農民芸術の製作」より一節 )
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しみじみほんとうに
男前。
感謝を
こめて
かしこ
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