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  日々、ミカンのこと                 

satomi yamada

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若布を拾いにいく。

今年は暖冬であったゆえに若布は生えず、
流れつかない
と、誰かが言っていたのを鵜呑みにして
近所の浜辺にないだけで簡単にあきらめていた私に
先日、友人がみつけたという。
長者ヶ埼へいってみればいいといわれて
翌日、
干潮の時刻をねらって自転車をこいだ。

長靴をはいて、
リュックにはビニル袋を何枚か入れていく。

風の強い岩場をぴょんぴょん
とびはねていく。
どうかわたしに若布を授けてください
と、海にお辞儀をして手を合わせる。

ふと、波打ち際に流れ寄る若布を発見
ありがとう!といってそれをつかむ。
袋にいれる。
進むごとにゆらゆら、若布、漂ってくる。
小さなめかぶ付きのものもいくつか。

誰もいない岩場に、
波がひいていくのが見える。
風のおとがする
鳶が旋回する
ヤドカリがあるく
ひじきも流れ寄る
拾い上げてこれは違う袋に入れる。

ありがとうございます
いただきますね
そう、何度言ったかしれない。

だれか人間がみていたら、
おかしい女とおもうだろうなと思えど、
致し方ない。

浜大根の薄紫の花が咲いている。
通してくださいね、と
かきわけて小道をゆく。
抜けると海の向こう側がひらける。
風がつよい
すこしこわいくらいに波がかかる
海のはるか先に、想いをよせる
とんでゆく
ひとつになる。

さて、
袋はずっしり重たくなって
重ね重ねお礼をいってかえる。
おまたせー
今度は自転車に話しかける。

ほくほく、
家にかえる。
春の海の恵みを
籠に入れてかえる。

ひじきは
錆びた釘を入れて大鍋でゆでる。
こうすると所謂ひじきらしく、黒くなるときいた。
入れなければ茶色くゆであがる。
ま、どっちでもいいんだけど。

かじってみて柔らかくなるまでゆでたら
ざるにあけて洗う。
手でかるくしごくだけでぽろぽろ
ひじきが軸からはなれる。

軸と芽にわけて、保存する。
新鮮なうちは
オリーブオイルと、塩かお醤油、
檸檬なんかをかけるだけでサラダになっておいしい。

もちろん煮物や炒め物にもする。
そういえば娘がたびたび
ひじきふりかけを買ってくれとねだるので
作ってみようかなとおもう。
どうやってつくるんだろ。

若布は洗ってさっとゆでる。
湯にいれた途端、
ぱっと鮮やかなみどり色にかわる。
はっとする

ひいて水で洗って、これも茎と葉にわける。
これを干せば、干し若布。
でも今年はたいした量ではないから、
半分は軽く塩につけてみる。

ゆでずにとっておいた分、
なるたけやわらかそうなところ、
これは若布しゃぶしゃぶにする。

若布をスーパーで買う気にはならないわ、と
高を括っているうちに
気が付けばその棚にも並ばなくなって
いよいよ今年はこれが食べられぬまま
春を後にしてゆくのかと思っていたので、
こんなに幸せなことはない。


娘と言い合って鍋をつつく。
娘はさっと色が変わってすぐをすかさず
ひきあげる。
真似してみると確かに、
このほうが若布の香りが濃く歯ごたえもよい。
豚にはなにもつけず、
若布にたっぷりポン酢をひたして一緒に食べるのが
おいしい、と彼女はいう。
どれどれ、と試してみればなるほど。

食通だねー
といえば、
食通ってなに?
という。

すこし考えて、
食に通ずる者
とこたえると
すこし誇らし気に鍋をつついていた。

わたしは何がすきって
こういうことがたまらなくすきだ。

季節になるとめぐり来る
旬の恵みをいただきに、
山に
海に
でかけてゆく。

ありがとうをいっぱいいって帰る。
それを下処理してたべる。
その過程ひとつひとつにみえるうつくしいものに
夢中となる。

ああ、生きているってたのしい
そう
心の底からおもう。

ほかに一体、これ以上
なにが欲しいというだろう。

シンプルなこと
ささやかなこと
ゆっくりであること

そういうふうにして
この先も
いつかまで
生きてゆきたいものだなとおもう。

熊本の地にも
そんなおだやかな
ささやかな事々が
営みが
ありますように、

もどりますように。








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