
cafe ikanika
はなてる展
筆と還る 海と詩の夕べ
この夜のことを、すこし
振り返る。
あの場をなしてくださったおひとり、おひとり、
ほんとうに、感謝をいたします。
やわらかく、あたたかく
迎えてくださった康二さん、
お手伝いをしてくれた方々、
お越しくださったおひとりおひとり、
はなてるさんの、絵筆をにぎり生きる者の、生のこえ、お話に
ヤマキさんの、海との、おおらかで自由でまっすぐなお話にも、
ひとつひとつと、
一瞬一瞬に、
ふるえて、うれしくて、あふれて
泣きました。
この場にいられること
奇跡みたいなことの
ありがたさに。
そのぐるりを囲む、
のびやかな、とうめいな、
はなてるさんの書画。
わたしはふるえながらも
ほとんど誰もいないかのように
うたって、
そこに居て、
からっぽになりました。
だからなにがどうなったのか、
わたしにはほんとのところわからないのだけれど
その後、聴いてくださった方々の
まっすぐに
伝えてくださる言葉、まなざしに、
ありがたくて
ほっとしました。
力がぬけてふにゃふにゃになりました。
なにがおきるかわからない
この異星人みたいなわたしに
この場を与えてくださった、のりちゃんに
あらためて、ほんとうに、かんしゃを、いたします。
この日、
はなてるさんがわたしに
里美ちゃんのことばを朗読してほしいねん
と、奇特にもうれしいことをいってくださって
だから
この日のためにとおもって
書いたものを、
幾分、いや大分長いけど
ここにも、記しておきます。
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海のわたしに云ったこと
海へいって、海に入る
朝おきて、ひかりがつよくて、あたたかいと、
自転車にのって、海へいく。
海に、おはようをいって、はだしになって、
砂の上をあるいて、水に足をひたして、挨拶をする。
すきとおって、すべらかだったり、
波がおおらかによせて、うごいていたり、
ときに赤潮がよせていたりする。
入っていいですか、ときいて
海は、どうぞ、と云う。
服をぬいで、水に入っていく
全身が海に、水に、すっぽりとのみこまれ
つつまれていく
海と空の境界線にむかって
およいでいく。
すべらかな、平らかな、水の面がいちめんに、ひかり、
ゆらぎ、うごき、どこまでもひろがっている
どこまでもどこまでも
ひろがっている
浜辺から小さな点か、ひとか、ブイか、カモメか、
ちょっと目にはわからないくらい離れたころ
ぽっかり海のうえにひろがって、
浮かぶ
水のおとがして、
空がひろがって、
山がよこたわっていて、
ひこうきや、とりが、とんでゆく
鳶がなきながら旋回する
この大きな水は、
どこまでもひろがってつながって、
めぐり、めぐっている
そのただなかに、ひとり、
からだひとつでうかんでいる
その
心もとなさと、一体感と
こころぼそさと、安心感と
一抹のおそろしさと
このうえなき幸福感
うみのこえがきこえる
わたしたちはなにもちがわない、
わたしたちはひとつだ、と
海に潜る
はだかの眼では、視界はすこしぼんやりとして
青が、青に、つつまれる
青のなかをゆく
青のなかをただよう
ぼんやりとしたやわらかい水のなかで、
息はできないけれど
それはとても穏やかで、ほどけてゆくような
ほっとする青
マスクをつけるとクリアにみえる
魚もみえる
ひかりの線も、水面からの空も、
はっきりとみえる
それはとてもうつくしいけれど、
足ひれをつければ深く潜れるし
ウエットスーツを着ればさむくない
けれど
あのときの
はだかの眼とはだか同然の身体でまじる
安心感
とけて、ひとつになるかんじ
境界線の
ほどけてゆく
海は云う
きみを、
自分を、
人間を、
そんなに責めるでない
わけるでない
きみも
にんげんも
わたしたちとなにもかわりない
ちがわない
わたしたちはひとつ
わたしたちはひとつ
おなじもの
いっしょ
いつでもいっしょなんだ、と
2011年3月から
ぐるりぐるりめぐった春
陸から
うみを毎日眺めていてきこえたのは
(これからも ともに)
ということだった
この夏
うみのなかにまみえてきこえたのは
(わたしたちはひとつ、わたしたちはおなじものだ)
ということ
それはうれしくて
幸福で
なみだがとまらない
ありがとうばかりがある
ほんとうのことだった
わたしはうみを
このせかいを
あいしている
ありがとう
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2016,11,12
songs snd words / at cafe ikanika
a beuty of smallness (junichi ogawa)
紅い花
てぃんさぐぬ花
my favorite things
--- 星をつぐもの
星めぐりのうた
うみのうたいきもののうた (これは即興)
--- 海のわたしに云ったこと
波
山賊のうた
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この夜のことは
きっと、わすれない。
ありがとうございました。
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