
こんなに土筆をたべる春はなかった。
先日
むすことローカル線の電車がよくみえる川辺のちいさな土手で
ことし初めの土筆をみつけた。
つくしはこどものころから
みつけるとわくわくする
数年前、河津桜をみにいった折に摘んで帰って
初めて自分で料理してたべた。
料理といったって、おひたしだけれど
胞子がつまった頭の部分もたべられると知り
なんだかおつなものだなとしずかに感激す。
2歳のむすこにはまだ早いような味であろうが
季節ものだからと
ひとつかみほど摘んで、夕飯におひたしにしてみる。
するとむすこはばくばくたべた。
我先にとあっという間にたいらげた。
以来、散歩の道でみるたびに摘んで帰る。
道々、歩きながら袴をとっておけば、かえってすぐに調理できる。
むすこは次第に道中待ちきれず、そのまま数本生でたべはじめる。
かえって、ぼんぼんしてからでないとおなかいたくなるかもよ
と
いったって、ききやしない。
ぼんぼん、は
火を入れて料理する、の意。
何故だったか、いつのまにかふたりの間ではこう言う。
きょうも土筆摘み、
香りよい三つ葉もみつけ、共にさっと煮て、
お醤油と柚子酢とおかかをかけておひたしとする。
ごま油をひとたらし。
むすこはつくしばかりをつまんでたべている。
このへんではイタドリも食すようで、
先日いただいたらとても美味しかった。
この頃道端ににょきにょき生えてきたそれを、
横目でみながら食べどきをみている。
蕗もあそこへ摘みに行って
筍もそろそろ
春はつぎからつぎへと花が咲き、緑萌え、
せかい、空気は春の気に満ち満ちていそがしい。
淑気
そろそろ
ふゆのあいだにみつけておいたさくらの木たちのはれすがた
ふるえるさくらのはなをみに
あちこち、いそいそとでかけてゆくだろう
ここでむかえる
はじめてのはる
かぜがふき
木々が草木が葉が花々が
せかいがゆれて
しずかにふるえ
たしかなものでみちている
その在りよう
ことばをこえて
こちらへとどく
これも
かみさまのことばのようなこと
だと
わたしはおもう
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