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  日々、ミカンのこと                 

nalu

謝謝 

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数日間の
久しぶりの葉山、鎌倉滞在を終え
帰ってきた。
出発前日に大雪が降り、世界は真っ白
久方ぶりの富士山へもご挨拶ができて
まだその夢から覚めないような
佳き
こうふくな日々であった

一月八日
鎌倉山、HIMMEL での唄の場へお越しいただいた方々
本当にありがとうございました。

前日の雪でバスの運行も停まってしまい、
不自由な中を遥々、
どなたも欠けずにいらして下すったこと
懐かしいお顔
初めましての方
うつくしい場へ暫し集い
あの時を共有して下すったことに
心より深く
ふかくふかく
御礼申し上げます。

ほんとうに貴重な
しあわせなことでした
私にとって
この上ないことです

あの場をひらき整え、しつらえて下すった
HIMMEL のSHIDHEさん、'ula さん
そして野衣くん。
会場のお手伝いを細やかにして下すった
nonaさん、木原佐知子ちゃん、マイコちゃん。
駆けつけて下すったみなさま。
打ち上げのケータリングをしてくれた
野菜料理めい さん。
(ヴィーガン韓国料理、美味しかったぁ)
そして
ライブをご一緒してくれた
Kenji Kihara さん。
けんちゃんの音が
あの場にフワーっと漂いはじめるだけで
心から安心して、いられることができました。
このすべてを用意してくれた
HIMMEL 、SHIDHEさん。
なにもかもに
本当にありがとう。
ありがとうございました。

御礼、その余韻は尽きないけれど

あの日
声にのせて読み上げた言葉たちを
ちょっと長いけど、
ここに
残しておく。


ーーーーーーーーーーー


里美ちゃん
は、私と同じ名前の友人で
この街、鎌倉に住んでいる。
住んでいた。

里美ちゃん
とは、共通の友人を介して知り合って
その友人は彼女のことを
鎌倉の里美ちゃん
と呼び、
二人の里美ちゃんは私にとって、姉妹みたいやわあと
その人は言っていた、ことを今思い出す。

里美ちゃんとは
ばったりと出会う。
ある日はまだ小学生くらいだった娘と一緒に行った
鎌倉文学館で。
ある絵本作家さんの展示を見に出かけた先だった。
あの頃、確か、里美ちゃんは二人目の子が産まれて間もなくて
まだ小さい赤ん坊の女の子を抱っこしていた
ような気がする。

私の娘と、里美ちゃんの長男は、同じ歳だ。
二人とも、今年成人式を迎える。

またある日は
鎌倉駅のすぐ側で。
私は確か、息子がお腹の中にいて
久しぶりに再会した里美ちゃんと、互いの近況報告を
立ち話して
その後、数回重ねて会った。
里美ちゃんと待ち合わせして会ったのは
その時の二回、ほどだったか。

彼女の夫の営むバレエスタジオで
空いている日にスペースを借りて一緒に何かしよう
と、話した。
私が唄をうたって、何か朗読して、
みんなで声を出すようなことをしたいなというと、
私も読みたいな、と里美ちゃんは言って
二人で何を読もうか、
と相談したのは暖かな室内、外は吐く息白い
冬だった。

私のお腹はぱんぱんに膨らんで
息子が出てくる頃になって、
産まれたら、なるたけ早く、
そんな輪を、場を、もちたい、と話して別れた。
あの時、二人でホットチョコレートを飲んだっけ。
そのお店はもうなくなったよ、と先日娘にきいた。

私が自宅でこの大きなお腹の中にいる子
この子を産むこと、
そして、私が婚姻していない上
住まいも別々、事実私は一人暮らしで
そういう環境関係のまま出産を迎えること
そういったことを確か、
里美ちゃんはうつくしい眉根をちょっと寄せて
心配してくれた。

私は
よくわからない空元気のような
大丈夫、を言いながら
里美ちゃんの大きな、いつでも潤んでいるような
綺麗な目を見ながら、
こうして心配してくれることに
小さく救われるような
なんとも言葉にし難い気持ちになった。

そして、
何につけ楽観的な私は
産まれてすぐにでも
その場
里美ちゃんと二人で試みる
女性たち、母たちの集う小さな歌や言葉の場を
開けるだろうと思っていた。

里美ちゃんは
産後は想像以上に余裕もないから
無理はしないように、といってくれた。
大丈夫、もっとゆっくりだっていいんだから、と。

里美ちゃんはタフだねえ
そう笑いながら、見上げるように里美ちゃんは言った。

忘れていたけど
産後の赤子との日々は、そんな生やさしいものではない。

余裕もなく
慌ただしく、
毎日必死で、試行錯誤
時間も日にちもよくわからない
そうこうしてのち
息子とのびやかに生きるべく
私は葉山を離れ
四国へと居を移した。

それから一年半ほど経った。

里美ちゃんが倒れました
意識がありません
今夜持つかどうかわかりません

知る

私はおろおろしてから二階に上がり
波の音を頼りに
祝詞をあげる
その声の向こうに
里美ちゃんが見える
里美ちゃんへと続く、光が見える

そこでやりとりをする
そうしながら私は

ただ闇雲に帰ってきて
とだけは言えなかった

里美ちゃんに尋ねる

里美ちゃんは?
里美ちゃんの魂が
今ここを旅立ってゆくことを望み
それがあなたにとっての最大のお祝いであるのならば
私は最大限
それを祝福する

でももしも
それが今でなく
ここへ帰ってきたいと思ってくれるなら
帰ってきて
それに何か必要なら
私は最大限それをする

里美ちゃんの魂にひかりを送る

そのことを、
あのときどれだけ多くの人が試みて
いただろう

里美ちゃんは
愛する家族に見守られながら
その後の十日ばかりの間、奇跡的に命をこの世界にとどめ
そうして
クリスマスイブの日の夕方
ここから天へと還られた

この地上、肉体を離れて
あたらしい、次のところへと
進んで行った。


人が亡くなることは
決して悲しいことではない
その魂にとって、それは、その時とは
天から言祝ぎを告げられるように
祝福に満ちたことだ

少し前にある人がいうのを聞いた

聴きながら私は
ごく自然にそれに同意し、頷いた。

はずであった

のだけれども
こんなふうに
勝手に
震えていて、涙が出ていて、言葉が出ない
と言うことが私に起こるのだ、と知った。

ましてご家族
子どもたちの心の中は
如何程かと思う
それを思うとき
それは


悲しくないわけがない
そんなこと、わかってる

だけれども
だけれども
私は
里美ちゃんに
おめでとう、と言う

里美ちゃんおめでとう
あたらしい世界へ
行ってらっしゃい

そしてこの世界の隅々にまで
細かな細かなひかりの粒となって
里美ちゃんが満ちている
満ち満ちていて
話しかければ
すぐそこに
彼女の答えるのを感じることができる

だから
泣きながらでもいう
里美ちゃん
おめでとう
あなたに出会えてうれしい

あなたは
今もこれからも
この世界に美しく存在していることを
私は知っているよ

ありがとう
おめでとう
さようならは言わないよ


夕飯の後
息子を膝に乗せ、絵本など読み終えてふと
息子にいう

あのね
あのね
いつかね
いつかの時にね
かかが、私が、いなくなって
触ったり、
抱っこしたり、
ぎゅーってしたり、
匂いを嗅いだり、
声を聞いたり
てて繋いだり
することが、いつかできなくなっても
かかは、私は、
いつでもずうっと
ここにいるからね
うみの、すぐそばにいるからね
だいすきはどこまでも消えない
だから心配しないで
それだけはずっと、覚えていてね
わかっていてね


二歳と10ヶ月の息子に言う
言いながら
頬には涙が垂れていて
息子は
それを見て
たた、とティシューを持ってきて
その涙を拭いてくれる
そして
ぎゅーっと
私にしがみつく
包み合う

この身体
この命
いつか必ず
終わりはくる

そしてそれは決して
悲しいことではない

だって全てはめぐり
つながりあっている
前も後ろもなく
過去も未来もなく
入れ替わり自由自在に
今だけがある

ここ
この瞬間に
私は
どんな顔をしているだろう


この瞬間に
私は
どんな風でいよう

何もかもから
今を
私を
選択する

選び
続けて
いるのだ

ひかり
ひかり
ひかり
真っ暗闇を抱いた
内包した
ひかり

ひかり
ひかり
ひかる
ここ
この
私と
あなた

私と
あなた
私たちは

いつでも
どんな時も
離れず
また
遠く離れていても
見えなくても
さわれなくても
ひとつだ

そして
触れること
見えること
聞こえること
抱きしめられること

その素晴らしさ
味わっておこう

思う


その素晴らしさ
味わっておこう
と思う


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        2022.1.8 HIMMEL うみとなる






      
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