
一月の旅、ライブの余韻
そのつづきである
冒頭の写真は
HIMMELの’ula さんが撮って下すったもの。
昼の会は
お日様の光 満ち満ちて
お庭の木々植物、そして雪だるま
白いひかりの中にいるような
やはらかな午後だった
また
夜の会は
蝋燭の灯りゆらめき
闇の中にすっぽりと包まれて
SHIDHE さんの声や音も交じり合い
まるで
銀河ステーションの中にいるような
一寸も紛れる
不思議な夜だった
特別な一日であった
この夜の部の終わりのほう
蝋燭の微かな灯りを頼りに読んだ言葉たちも
ここへ残しておく。
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雨が降って
家に帰ると
外に干していったはずの洗濯物が
取り込まれている
庭からそれ見上げて
ほっとする
そして
えみさんの家の方を向いて
お辞儀をする
ほっとする
急な嵐となった日も
思ったより帰りの遅くなった日も
そんな風にして
助けてもらう
二階の部屋には
丁寧に洗濯物のハンガーやタオルが
かけてある
それを見てまた
ありがとうを
二階の窓から飛ばす
聞こえなくても
見えなくてもいい
会った時そのことを暫く忘れていてもいい
それくらいに
安心していられるのは
どう言うわけか
そんな風
家族みたいに
いやそれ以上に
深いところで助けてもらう
私がここで
息子と暮らしていることそれ全てを
そのまま包むようにして
暮らす
隣近所の人たちがいる
それぞれ高齢で
人生の様々を経てきているからか
ごく普通からはみ出した
少しくらいの変なことや
時におかしなこと
余裕なさすぎて失礼なことさえも
おおらかに流し
笑ってくれる
ここから見渡せる
海みたいに
それがどんなにありがたいことかと
時にしみじみ
涙ぐむ
息子はヨネさんの家に上がり込んで
フカフカの回転椅子に腰掛けて
ヨネさんとテレビを見ていたりする
だから私も
ちょっとした家の用事を済ませてから迎えにゆく
お仏壇のバナナを勝手にとって帰ってきたときは
さすがに叱って謝りに行くと
うちの子はもっと悪いことようけしたし、
ここらの子も散々そんなことしよったけんど
みぃんなええ子に育ちゆう
ほなからそない叱らんでも
安心しい
大丈夫やからと
バナナトマト息子の好物を持たせてくれる
どこまで甘えとんねん
と言うくらいに
ご近所さんには甘えている
私がである
そやって支えてもらいながら
生きている
息子もすくすく育っている
いつの間にか
土地の言葉を話すようになった
格好つけなくても
構えなくても
緊張しなくても
いい子ちゃんでなくっても
へいき
波の音がする
波の線が見渡せる
少しだけ高台の
小さな集落に
私たちは暮らしている
きゅうりをもらったり
大根もらったり
枝豆配ったり
草刈り機借りたり
一緒に夕日を見たりしながら
ここへきてよかったと
心の底からおもう
はるなつあきふゆ
春夏秋冬
はるなつあきふゆ
春夏秋冬
それぞれの
うつくしいものを
うつくしいと
うれしいことを
うれしいと
愛おしいことを
愛おしいと
素
でいられることの幸福を
しみじみ思い
感じ入るのである
空が青い
月が眩しい
風が強い
水面が滑らかである
蛇がいた
虫が飛んだ
鳥がなく
猫が歩いてゆく
笑いながら手をひらひらふる
畑の人参を引っこ抜く
朝顔を見にゆく
台所に漬物が置いてある
朝、保育園へ息子を送っていく
たいてい時間ギリギリなのであるが
最初の角を曲がるとき
大家である長谷さんが犬の散歩へ出かけるところである
息子の座席の窓を開けてやると
長谷さん、いってきまーす
と言って息子、手を振る
いつもは少々硬派な長谷さんも
顔の横で愛らしく手を振っている
坂を下る
下りながらこの全てのことが愛おしく
ありがたくてならず
涙ぐみながら
ハンドルをきる
今日も保育園は少しばかり
遅刻である
私は今住み暮らすこの街を
気がつけば泣いてしまうくらい
愛している
ジュテーム
ウオ アイ ニー
サランヘヨ
生きているって
素晴らしいなとおもう
死者も聖者も私たちもみなおなじ
ここに
いま
ひとつになる
ここに
いま
ひとつである
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2022.1.8 HIMMEL うみとなる night time
この企画の打ち合わせを
三人でおこなった最初のとき、
一本の映画を見るような
時間にしたい
と、SHIDHEさんがいった。
全てのものごと、ここに居合わせてくれた人々
全てが作用し、混ざり合って
なんだか気がつけば
そんなトキとなったような気がする
そのことにも心から
感謝申し上げます。
この日の二日後
娘は成人式を迎え
彼女の希望により
この町、葉山での式に参列した
朝、着物を着付けてもらった晴れ姿を見て
想像してたより感激してしまい
我、泣いていることに驚くと
ママはいつもそうだったでしょ
と、娘に笑いながら云われる
私の時は大した感激も支度もなく
なんとなく成人式を通り過ぎていたもので
こんなふうにして
あらためてこの晴れの日を迎えられたことに
また深々と
感謝、感激す
なにもかも
なにもかもに
ありがとう
ありがとうございました。
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