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  日々、ミカンのこと                 

nalu

旅の跡 / 東京、山梨、葉山 

散策と旅 |

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二〇二二年
私の観た数多くない映画のなかで
最もふるえ泣いたのは
「地球交響曲第九番 ガイアシンフォニー№9」
であった

このなかに登場する
世界的指揮者、コバケンこと小林研一郎氏の姿に
説明できうる以上のものが内側に波立ち
むせび泣いた

そのときおもう
生きているうちに彼の率いるオーケストラの音を
全身に、生で、浴びたい

そしてふとそれが叶うことになる
即、チケットをとる
飛行機もおさえる
そうして
久しぶりに冬の東京を訪れた

この夜のことは
魔法がかったようにわたしの心身に刻まれている
この記憶
忘却機能の優れたわたしの能力にかき消されることなく
いつも鮮やかにとりだし、包まれることができますように
と祈る

こんなにもうつくしい旋律があるのか
もはや、最前列の端っこゆえに
小林氏の振るタクトも、姿かたちもほんの一寸しか
みえなくとも
まったくそんなこたー問題にならない

音、その波を、そこに繊細に、完璧なまでに込められたなにか
この祈りのような細かな集合体を浴びる
月イチで聴きたい、なんて贅沢をおもうくらいに
それはそれはしあわせなことであった
ゆりかごに揺られているような

音楽というものに造詣深かったこともなく
これまでの人生に一度も
オーケストラもベートーヴェンもまして第九にも
まったくといって興味関心を寄せたこともなかったが
ああ
この歳にして、今これきたか
というこの小さなおどろきとよろこび。

人生、いつなにがおこるかわからない
大げさでなく
実に面白いなあ
ほんとうに

その間、息子をあたたかく観ていてくださった父母にも
心より感謝。


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さて
その翌日に訪れたのは
山梨、シロテナリ
かれこれ10年ほど前
娘のシュタイナー土曜クラス時代に知り合った
ゆき乃さんと、この夏久しぶりに、ふたたび繋がる。
当時から
透けるようにうつくしく、
独特の空気世界観を纏う女性であった。

彼女が今、藤野にほど近い山梨でカフェを営んでいるという。
それはいかなくちゃ
わくわくして娘を誘ってこのたび
それが叶う。

これはもう
想像以上に
物語のようなうつくしい世界であった
食事もひとつ、ひとつ、
野菜植物たちと丁寧な結びあいをおこなって
ここにひかる
美味しい、というにはあまりに語彙が足りない。

はあ、
ここでもまた
この人生の運んでくれることのあまりの豊かさに
深々、しみじみさいわいをかみしめる。

感謝〇

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その翌日のこと
葉山、cibo へ

そう、オーケストラのチケットをとってすぐさま
ciboの主、みとなちゃんにお伺いをたてた
年も瀬、急な申し出にかかわらず、
なんともあたたかく、ぴっかりーんとご快諾してくださって
この日が叶う
ああ
ぴっかりー-ん

そうして
環をかこんだのであるが

冬の日
奇跡のような陽だまりのなか
我、おもいのこすことなく
ことば、また言葉意味を超えるものを
そこに安心してひろげることができ、
そこに耳をかたむけ
また
それぞれから奏でられる声のおと
その波、ひかりのドーム、螺旋にまじりあう柱をなして
このせかいにひろがってゆく

そこには
指揮者不在の
やはらかく完璧なハーモニーがある

その余波に包まれながら
目の前に運ばれる昼餉
つづく
焼き菓子

ちな(青天舎)、みとなちゃん
それぞれからの
完璧な愛がどこまでもどこまでも
繊細に丁寧にあふれており
言葉にならない

じんわり涙ぐみながら
それを大切に、たいせつに身体におさめる
その環をなしていたわたしたち、全員が
完璧なこうふくのなかにいた

これが
このせかいである
これが
わたしたちである

こまかなひかりふるえる方々に
この日
お集まりいただき
ほんとうにしあわせなときとなりました
こころよりふかく
感謝もうしあげます

その間
息子を江ノ電に乗せ、ここへ来てくれた
娘にも心より感謝

うつくしいひであった
わたしたちはいまも
このなかにある

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(冒頭の写真、上、ちなの2種のサンドイッチプレート。 みとな氏撮影)
(下、みとなちゃんの林檎のタルト。 ちな氏撮影)


そうして眠った
娘の家
最終日の朝、目を覚ます

枕元にリボンを結んだ包み、ふたつ在る

もういちどめをとじる
うっすらとあけてそれをみる
隣にはむすこ
その向こうにはむすめサンタが眠っている


なんどもなんども
ちらっとみては
布団にもぐる
これは
わたしが小さなころにしたことだ

このしあわせを
いまにとじこめておきたい

なきながらおもう

こういうときって
くるんだな

ふつうこないでしょ
なんてわたしはしあわせものなのであろう
いいであろうか

わたしサンタできるものなにももってない
あー-

そうして
随分長いことそうしてから
包みをひらくと

わたし、むすこ、それぞれに
むすめの編んだ
セーターが入っていた

あんまりうれしいとひとは
リアクションがうまくできなくなるということを
知った

あたたかくて
かわいくて
うつくしいセーターを
着て
わたしたちの住み暮らす
この町へかえる

かえってきた

どのしゅんかん
どのかたも
ありがとう
ありがとうございました

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