あんまりに唐突で、
あんまりにがっくりきてしまって
なかなか書けずにいたけれど。
クリスマスにやってきたハムスターのハムラさんが
つめたく、動かなくなりました。
ましゅ、誕生日の前日のことです。
眠る前、なんだか様子がおかしい気がして
でもまさかとおもいつつ
でも妙に胸騒ぎがして、
巣箱を手のひらで包みながら眠っていると
夜中。
ちょうど元気なハムラ氏の夢をみていた最中、
元気に巣箱から出てきて手のひらにのり、
じっとして眠りはじめた。
ちょっと安心してそのまま うとうとしていたら朝方
急に反り返り、反り返り、
大丈夫!?
と言った次の瞬間にはもう
動かなくなりました。
さっきまで、遠くで馬がはしるみたいな音で
聞こえていた心音が
耳を澄ましても聞こえなくて、
もう明らかに抜け殻の身体が
手の中にいました。
呼んでも、
叫んでも、
祈っても、
もちろん泣いたって、
戻りませんでした。
まだ温かい身体を手に包んだまま
眠り 朝が来ても、
ハムラはやっぱり死んでいました。
その日
ましゅをひざにのせ、
ゆっくりとそのことを話したとき、
ましゅは壊れたように泣きました。
声にならない声で
ハム…ハム…ハムラ…と
名を呼びながら、七転八倒しました。
びしょびしょにマスカラが流れ落ちて
泣く私のひどいカオをみて
指差して笑って、
また泣き出して…を繰り返し
ひたすら哀しそうに泣きつづけて
ハムラの身体をなでました。
この手がましゅのほうに伸びてきたのに…
とか
鼻で指の間をぐいぐい押してきたのに…
といいながら、また泣きました。
まだ天国なんか行っちゃだめだったのに。
ずっとずっと一緒にいたかったのに。
私は頷いて、
抱きしめるしかできなくて。
私は何かできたはずだと、
何が一体いけなかったのだろうと
小さな命を守りきれなかったことに、
こんなにも早々にこの世界から、
ましゅの手から
失わせてしまったことを
後悔し、悔やみ、
祈っても時間は戻らなくて
息は吹き返してくれなくて、
どんどん硬くなってゆく身体を翌日、
ローズマリーの木の下に埋めました。
花をたくさん入れて。
ましゅが
ひまわりの種を一緒に入れていたので、
夏にはひまわりが咲くかもしれません。
ましゅはあの日、
人生最大に泣いたので
その後はけろりとして
でもときどき、
くう に
「ハムラ」
と呼んでみたりして
「いつか飼いたいから、かごは捨てないでね」
と、ゆっています。
かごはもちろん捨てられるはずもなく、
同じ場所に置いたまま。
ときどき、巣箱からにょきにょき出てきて
水を飲むんじゃないかという気が
一瞬したりします。
数日は
夜、ひとりになるとしみじみ
もうハムラはいないんだとおもって、
なんでだろうと、
ハムラは私に何か言っていたんじゃないかと
ぐるぐる悔やみはじめて
本気で返ってきてほしいと、
空の高みに祈ったりする。
さっき塗ったアイクリームも
完璧に流れ落ちて、
これじゃ意味ないやないかーい とおもいつつも
どうしようもない。
そんなんでしたが、
優しい人々が優しい言葉をくだすったりして
今はだいぶ 落ち着きました。
りんごを剥いたとき、
種はもうあげられないんだ、とか
窓辺に乾かしてあるかぼちゃの種も
もう食べないんだなとおもったりだとか、
そんな小さな淋しさを噛みながら
だけど。
たかがハムスター一匹が死んで
こんなに滅入っていては母さん務まらんよと
客観的にはわかる。
わかる、と 現実 は
違うことは多い。
「ハムラー」とべそをかいていると、
「ママ、ましゅがいるよ」
と、7歳になった娘はいう。
ほんとうにそうだね、ほんとうだ。
私がしっかりしないばっかりに、
この娘はどんどん
しっかりしていってしまう。
申し訳ない。
ほんとうに。
ハムラさんがせめて今、
楽しく空をとんでいますように。
未熟な私はもっと大きく、
守るべきものを守ってあげられる
深い人間になれますように。

あんまりにがっくりきてしまって
なかなか書けずにいたけれど。
クリスマスにやってきたハムスターのハムラさんが
つめたく、動かなくなりました。
ましゅ、誕生日の前日のことです。
眠る前、なんだか様子がおかしい気がして
でもまさかとおもいつつ
でも妙に胸騒ぎがして、
巣箱を手のひらで包みながら眠っていると
夜中。
ちょうど元気なハムラ氏の夢をみていた最中、
元気に巣箱から出てきて手のひらにのり、
じっとして眠りはじめた。
ちょっと安心してそのまま うとうとしていたら朝方
急に反り返り、反り返り、
大丈夫!?
と言った次の瞬間にはもう
動かなくなりました。
さっきまで、遠くで馬がはしるみたいな音で
聞こえていた心音が
耳を澄ましても聞こえなくて、
もう明らかに抜け殻の身体が
手の中にいました。
呼んでも、
叫んでも、
祈っても、
もちろん泣いたって、
戻りませんでした。
まだ温かい身体を手に包んだまま
眠り 朝が来ても、
ハムラはやっぱり死んでいました。
その日
ましゅをひざにのせ、
ゆっくりとそのことを話したとき、
ましゅは壊れたように泣きました。
声にならない声で
ハム…ハム…ハムラ…と
名を呼びながら、七転八倒しました。
びしょびしょにマスカラが流れ落ちて
泣く私のひどいカオをみて
指差して笑って、
また泣き出して…を繰り返し
ひたすら哀しそうに泣きつづけて
ハムラの身体をなでました。
この手がましゅのほうに伸びてきたのに…
とか
鼻で指の間をぐいぐい押してきたのに…
といいながら、また泣きました。
まだ天国なんか行っちゃだめだったのに。
ずっとずっと一緒にいたかったのに。
私は頷いて、
抱きしめるしかできなくて。
私は何かできたはずだと、
何が一体いけなかったのだろうと
小さな命を守りきれなかったことに、
こんなにも早々にこの世界から、
ましゅの手から
失わせてしまったことを
後悔し、悔やみ、
祈っても時間は戻らなくて
息は吹き返してくれなくて、
どんどん硬くなってゆく身体を翌日、
ローズマリーの木の下に埋めました。
花をたくさん入れて。
ましゅが
ひまわりの種を一緒に入れていたので、
夏にはひまわりが咲くかもしれません。
ましゅはあの日、
人生最大に泣いたので
その後はけろりとして
でもときどき、
くう に
「ハムラ」
と呼んでみたりして
「いつか飼いたいから、かごは捨てないでね」
と、ゆっています。
かごはもちろん捨てられるはずもなく、
同じ場所に置いたまま。
ときどき、巣箱からにょきにょき出てきて
水を飲むんじゃないかという気が
一瞬したりします。
数日は
夜、ひとりになるとしみじみ
もうハムラはいないんだとおもって、
なんでだろうと、
ハムラは私に何か言っていたんじゃないかと
ぐるぐる悔やみはじめて
本気で返ってきてほしいと、
空の高みに祈ったりする。
さっき塗ったアイクリームも
完璧に流れ落ちて、
これじゃ意味ないやないかーい とおもいつつも
どうしようもない。
そんなんでしたが、
優しい人々が優しい言葉をくだすったりして
今はだいぶ 落ち着きました。
りんごを剥いたとき、
種はもうあげられないんだ、とか
窓辺に乾かしてあるかぼちゃの種も
もう食べないんだなとおもったりだとか、
そんな小さな淋しさを噛みながら
だけど。
たかがハムスター一匹が死んで
こんなに滅入っていては母さん務まらんよと
客観的にはわかる。
わかる、と 現実 は
違うことは多い。
「ハムラー」とべそをかいていると、
「ママ、ましゅがいるよ」
と、7歳になった娘はいう。
ほんとうにそうだね、ほんとうだ。
私がしっかりしないばっかりに、
この娘はどんどん
しっかりしていってしまう。
申し訳ない。
ほんとうに。
ハムラさんがせめて今、
楽しく空をとんでいますように。
未熟な私はもっと大きく、
守るべきものを守ってあげられる
深い人間になれますように。

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